芝浦小で公開講座。学校と地域でつくる“安心して挑めるリング”

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芝浦小学校で2日間にわたる学校公開が行われ、その締めくくりとして保護者や地域の皆さんも参加できる「人権教育授業地区公開講座」が開かれました。テーマはいじめの現状と取り組み、そして多様性。保護者会はあっても、学校の具体的な取り組みをじっくり聞ける機会は意外と少ないので、とても貴重。地域に門戸を開いている点もユニークです。

第1部:芝浦小学校におけるいじめの現状と取り組み

登壇したのは井田校長、田宮PTA会長、吉田主幹教諭の3名。

井田校長は「いじめ防止基本方針」の3本柱(未然防止・早期発見・早期対応)を紹介しました。毎月実施する「学校生活アンケート」で子どもたちの声を拾い、気になる回答には担任が個別ヒアリング。解決が難しい場合は、校長・副校長・スクールカウンセラーらによる「いじめ等対策委員会」で協議する体制を取っているそう。

吉田主幹教諭は、実際の聞き取り方法やケアのプロセスを説明。「被害者だけでなく加害者の背景にも踏み込み、根本解決を目指しています」と強調しました。

田宮PTA会長は保護者の視点から、家庭での声かけ術を披露。「嫌なことを言われたら、嫌な言葉で返すのではなく、あえて面白く返してみようと子どもに伝えています。人は鏡だから、優しいやり取りを心がけています」とアドバイスを共有しました。

第2部:ゲストの体験談を聞きながら考える多様性

後半では、日本で初めて性同一性障害を公表した女子プロレスラー・VENYさんが登場。星前PTA会長、佐藤副校長とともに、多様性について考えるセッションが行われました。

壮絶ないじめから見つけた希望

小学3年生の頃、登校すると靴に画鋲が入っているのが日常だったという壮絶ないじめを体験。相談相手がいなかった中、深夜テレビで小柄な女子レスラーが大柄な相手に挑む姿に勇気をもらい、プロレスに魅了されたそうです。

16歳でのカミングアウトと転機

レスリング全国3位の実力を誇りながらも「女の子になりたいのに筋肉が付くのが嫌」という葛藤を抱えていたVENYさん。16歳の誕生日に父親へカミングアウトすると、「好きにやっていい」と背中を押され、自信を得たと言います。いまやSEAdLINNNG女子チャンピオンで、イタリア男子ベルトも巻く二冠王者として世界で活躍しています。

自分らしく生きるメッセージ

「ブレないこと。自分を大切にしてほしい」。VENYさんのメッセージに、会場の参加者たちは深く頷いていました。

今回の講座を通じ、いじめや多様性は学校だけの課題ではなく、地域全体で向き合うテーマだと実感しました。「昔は夜しか歩けなかった」というVENYさんの言葉が示すように、子どもたちが堂々と自分らしく歩ける環境を、大人が一緒に整えていきたいですね。

なお、8月29日には芝浦小学校で「すぽふぇす」が開催されます。今年はVENYさんも参戦されるとのこと。応援するしかないですね!

昨年の様子はこちら → https://tamatch.com/240928spofes.html/

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