ここ田町で新しい循環が生まれています。
芝一丁目の障がい者就労支援施設「みなとワークアクティ」で手作りされた焼菓子を販売し、その売上に応じて「フードパントリー」(生活に困難を抱える家庭へ無償で食料を届ける活動)へ同じ焼菓子を寄付する「1piece for 2PEACE.(ワンピース・フォー・ツーピース)」プロジェクトです。
9月29日(月)、東京都済生会中央病院の北棟2階スペースで、地域住民も参加できる販売会が初めて行われます。

「ひとつのクッキー、シアワセふたつ。」
この活動を立ち上げたのは、芝一丁目に拠点を構える物流会社シクミオ。代表の水上さんは、近隣にある「みなとワークアクティ」との出会いをきっかけに、のちに封入作業をお願いするなど関わりを深め、そこで作られる焼菓子に着目しました。
「知的障がい者の多くは最低賃金の4分の1程度で働いているのが現状です。お菓子を応援の気持ちを込めた価格で販売し、その分を工賃に還元することで、働く人の収入向上につなげています。さらに販売個数の一部を増上寺で行われるフードパントリーに寄付し、地域の支援を必要とするご家庭も支える仕組みにしました」(水上さん)

この仕組みは、みなとワークアクティとともに「みなと子ども食堂」を支援の対象とし、地域全体での支え合いを広げています。
実は水上さん自身も生活困窮世帯で育った経験があり、「ここ港区にも支援を必要とする家庭があり、しかもその状況はここ数十年変わっていないことを知り、何かできないかと感じた」と話します。だからこそ、仕組みをつくり、続けていくことに強い思いを持っています。
病院から地域へ、活動の輪を広げる
東京都済生会中央病院では今年1月に職員向け販売会を実施。同院広報室長の本多さんによると、わずか数時間で450個以上が売れたそう。

実施したアンケートでは、購入理由として最も多かったのは「おいしそうだから」という声でした。価格についても「適切」と答えた人が大多数で、さらに「現状を知るきっかけになった」と答えた人が8割を超え、「また開催してほしい」という声も多数寄せられています。

「これまでは職員向けでしたが、地域の方々にも知っていただきたいと思い、患者さんや近隣の皆さまにも参加いただける形にしました。病院は医療の場ですが、こうした活動を通じて地域とつながる“コミュニティの場”にもなっていければと考えています」(本多さん)
会場となる北棟2階は、かつて患者向けレストランがあったスペース。現在は地域に開かれた交流拠点として整備が進められており、その第一歩となる試みでもあります。
ひとつのお菓子から広がる未来
さらに今後は商店街イベントなどにも展開していきたいと水上さんは語ります。
「私たちだけではできることに限界があります。だからこそ地域や企業と一緒に取り組みを広げたい。お菓子を通じて支え合いの輪を広げていければと思っています」
「ひとつのクッキー、シアワセふたつ。」――そんな思いを込めた「1piece for 2PEACE.」の挑戦は、田町に温かな循環を生み出しつつあります。

社会にいいこと、やるべきことだと頭ではわかっていても、自分から動くのはなかなか難しいもの。正直なところ、私自身、つい見て見ぬふりをしているようなところもあると思います。でも、こういった取り組みが地元であると、気軽に参加できるのがうれしいし、ありがたいなぁと感じます。
9月29日(金)のお昼どき。お近くの方はぜひ東京都済生会中央病院に立ち寄ってみてください!
1piece for 2PEACE. プロジェクト
場所:東京都済生会中央病院 北棟2F「びょういんの2階」スペース
港区三田1-4-17
日時:2025年9月29日(月)12時〜14時
支払い方法:現金またはPayPay