以前こちらの記事でご紹介したTBWA HAKUHODOさん。
実はその時は中に入れなかったのですが、同じビルの9階に、TBWA HAKUHODO QUANTUM(以下クオンタム)というこれまた超かっちょいーオフィスがありまして、2月に開催されたイベントCreative Neighborhood Conferenceでついに中に入らせていただけるということで、我々田町新聞、参加して参りました。
まず、ご紹介くださったのはTBWA HAKUHODOの井上さん。
クオンタムとはどんな組織なのか?
広告会社であるTBWA HAKUHODOの一部なのですが、専用のフロアがあり、さらにそこには3DプリンターやCNCルーターなどの機械が置かれており、その場で製品のプロトタイプを作れる環境が整っています。また、所属するメンバーも元コンサルタントやエンジニアがいたり、従来の広告会社とは一線を画した組織という印象です。
また、オフィスには旗が掲げてありまして・・・
なんと海賊旗!(麦わら帽子は被っていません)
これには、海賊のように一人ひとりの強い個性を生かしたチームで戦えるように、どこから攻めてくるか分からないような機動力が持てるように、といった思いが込められているそうです。
クオンタムは既にいくつもの実績があり、例えば「city firefly(街の蛍)」は、自転車用のチェーンロック。国際的なプロダクトデザインアワードのRed Dot Design Award 2014のコンセプト部門でBest of the Best賞を受賞しています。
自転車に乗るときはこうやって肩に掛ければLEDが光って安全、というわけですね。
うーん、未来っぽくてカッコイイなぁ~。
あ、しかもこの写真は田町で撮影していますね!
ちなみにこちら、自転車に乗るのに、工事現場のような蛍光色のジャケットを着るのはおかしい!もっとオシャレに乗りたい!というイギリスで自転車通勤を経験したデザイナーの熱い想いから生まれたものだそうです。現在商品化に向けて準備が進んでいるとのこと、これは欲しい!!
続いてこちらはクオンタムが中心となって進めた「ミライニホン」というプロジェクト。東日本大震災の後、ライフラインに依存しない生活を作れないのか?というテーマのもと、大小約20社もの企業と協力して実現。電気や水道、ガスが通ってなくてもエネルギーを自給自足して暮らせるというスゴイ家なんです。
デザインもオシャレでホントこんな家に住んでみたい。。
例えば、優れた技術やユニークなアイデアがあっても、ベンチャーがいきなり大企業と組んで仕事をするというのは難しいわけですが、クオンタムが中心となってそれらを結びつけることで、今まで無かった斬新なプロダクトやサービスを世に生み出せるというわけです。
さらに、今まで培ってきたノウハウを外部に提供しているのもクオンタムのスゴイところ。オープンイノベーションを起こしたい!という企業がアイデアを持ち込み、それが認められれば、実現に向けて一緒に取り組んでもらえるというわけなんです。
オフィスはこのように、右側の入り口からすべての部屋が1本の長い廊下でつながっており、アイデア出しからローンチまで、段階に合わせた部屋が用意されています。面白い!
で、そんなクオンタムが今取り組んでいるプロジェクトの1つが「A.I.ミニ四駆」。男子ならばきっと誰もが遊んだことがあるであろう、あのミニ四駆にA.I.(人工知能)を載せることで、コースを学習しながら走らせるなど、ミニ四駆をどこまで速く、スマートに進化させられるか!という夢のある挑戦です。
A.I. ミニ四駆の紹介はTBWA HAKUHODOの志和さんから。ちなみに志和さんは異業種からの転職組。昨年まではメーカーでPC設計をされていたそうです。
そもそもなぜ、A.I.ミニ四駆なのか
これは既に安価で普及しているものにITの付加価値を加えることで、ITを使った新しい価値を早く広く提供できるのでは、という発想から生まれているとのこと。
電通大学の西野順二先生が提唱した、安価高有用システムというアプローチだそうです。
さらに、技術力を高めたり、新しいアイデアを生んだりするには競い合うことも大切、ということで日本知能情報ファジィ学会の主催で大会も実施。昨年の9月に行われた第一回大会ではクオンタムチームが見事1位、2位を独占したそうです。
将来的には基板の製品化などを目指していますが、それよりもクオンタムとしては、この活動に参加することに価値があると考えているとのこと。
例えば、実際に開発して大会に参加することで、机上のシミュレーションだけでは分からない問題と向き合えます。その問題を解析して解決するというサイクルをこなすことで、考える力が身に付く、経験値を貯めることができる、というわけです。
さらに、こういった活動を行うことで。研究者の方々など、普段は接点を作ることができない人々とネットワークを築けるのも大きな財産です。
実はこのA.I.ミニ四駆。まだ加速度と角速度をセンシングし、状況に応じて速度を制限しているというレベル。実際にコースを走らせてチューニングを繰り返すという方法でしか調整できません。
しかし、次の世代かその次くらいではミニ四駆単体でコースの学習をして自動でチューニングすることを目指しています。さらに、全男子の憧れ、漫画の世界のようにジャンプしたり、声で動いたりするのも、そう遠い未来ではない!(はず・・・)
こちらは第二回大会に向けて制作した基板。新たにマイクロUSBのインターフェースやプログラマブルスイッチを搭載しました。
安価高有用システムというアプローチで進めているため、高価なCPUや部品を使うわけにはいかないという制約もあります。
さらに、志和さんの野望としては、この活動で得た知見を活かしてSTEM教育に提供する教材作りをやってみたい!とのこと。
車という題材は、よく走らせるという1つの目的に対して、速度を計算で割り出したり、制御をするための回路を学んだり、数学や回路設計、制御工学など、複合的に学べるため、STEM教育に最適なのではないか、と語ってくれました。技術者らしく、淡々と解説する志和さんですが、内に秘める熱い想いを感じる内容でした。
参加者の皆さんも興味津々。より技術的なことを突っ込んで質問している方には、ぜひ参加しませんか?と志和さんから逆アプローチも!まさにここから新しいものが生まれるという雰囲気でした。
田町にこんな新しいモノづくりの場があるとは。何だかうれしいですね!
そして、アイデアや技術のある方、
どんどん参加しなきゃ損ですよ!!