三田図書館は2022年、札の辻スクエアに移転しましたが、その跡地がいまどうなっているかご存知でしたか?
実は2024年10月に「みなとコモンズ」というスペースがオープンしていました!
マクドナルの斜め前、建物は図書館があった当時のまま。
今回はみなとコモンズの運営を担う「コモニング・ファシリテーター」である田村さん(写真左)と渡辺さん(写真右)にお話を伺いました。
おとなりの浜松町に2027年、開館予定の「港区立みなと芸術センター」。みなとコモンズはそのオープンに向けて機運醸成の一角を担うスペースだそう。港区在住・在勤に関わらず、誰でも無料で利用できます(初回のみ登録が必要)。
「ただ大きな箱をつくって、有名な作品を展示する、すごいアーティストを呼ぶというのではなく、区民のみなさんがどうしたら新しい施設を『自分たちのスペース』として使ってもらえるようになるか、みなとコモンズを使って一緒に考えていければ」と田村さん。
ここみなとコモンズでの経験や地域と育んだ関係が、港区立みなと芸術センターに活かされていくというわけ。
現在、日常的に利用できるフロアは2つ。
メインとなる3Fは「砂浜:海をみつける広場」。
図書館時代は読書室があった場所。広々とした空間に、寝転んでもOKなリラックスエリア(砂浜)やちょっとした作業ができるデスクスペースがあります。
(海が近いとはいえ)まさか田町でこんな看板を見る日が来るとは・・・
ちなみに砂浜は、くつをぬいで利用。いい感じの傾斜が付いていてお昼寝してしまいそう・・・
砂浜の傾斜部はちょっとしたステージとしても利用できます。
田村さんによると「砂浜のように人々が自由に集い、過ごせる場所にしたい」という思いで作られたスペースだそう。
波のようにカーブを描きゆるく仕切られた空間デザインもユニーク。「利用者が自分らしく過ごせる余白を意識した」と渡辺さん。完全にオープンな空間でも、完全に仕切られた空間でもなく、ほどよく周囲の存在を感じられる、そんな居心地の良い空間となっています。
オリジナルの机は片側が波の形をしていて、2台を組み合わせて大きな四角い机にすることもできます。
仕事をしたり、勉強したり、本を読んだり、おしゃべりしたり、ご飯を食べたり、お茶を飲んだり・・・。ルールも利用する人たちといっしょに考えていくスタイル。ここであんなことがしたい、こんなことがしたい、と思ったら、まずは気軽にコモニング・ファシリテーターに相談や提案をしてみましょう。
B1Fは「深海:呼吸をさがす部屋」。
このフロアでは、アートユニット「キュンチョメ」による映像作品が常設展示されています。メインはダイビングで収集した深海の映像。3Fとはガラリと変わって、フロア全体が薄暗い海の中のよう。光と影が織りなす神秘的な空間が広がっています。
ちなみに個人的には、以前図書館があったときによく利用していたので、あのレトロな食堂があった空間が!とまた違う感動も味わえました。
作品には社会や自分の存在について考えさせられるようなメッセージが込められています。とはいえ、決して堅苦しさはなく、都会の喧騒から離れ、静かに作品を鑑賞しながら自分と向き合える、ある意味とても贅沢な時間が過ごせます。
3F同様、寝転べるのもポイント。美しい映像と静かな空間、ぜひ実際に体感してみてください。
「みなとコモンズ」の最大の特徴は、「居場所づくり」を軸にした実験的な取り組みにあります。田村さんと渡辺さんの役割は、単に施設を運営するだけではなく、コミュニティの形成や利用者の主体的な参加を促すこと。「誰もが気軽にアイデアを提案できる場所にしたい」と田村さん。実際、ワークショップや区民のイベントアイデア募集なども行っています。
「実は日常の楽しみの中にクリエイティビティ(独創性や創造力)はあって、誰もが持っている。楽しみをシェアすることで、また新しいアイデアが生まれて文化が生まれていく。そんな体験を少しでも多くの方にここでしてもらえれば」と渡辺さん。
現在の開館時間は木曜、金曜、土曜、日曜日の11:00〜17:00。隔週ペースで公開ミーティング「コモニング・ミーティング」も開催しています(詳しい日程はこちら)。田村さんや渡辺さんなど、みなとコモンズのメンバーと使い方や企画を一緒に考えるというもので、誰でも参加OKです。
期間限定(今のところ2025年3月まで)とはいえ、こんな自由で温かい空間が地元、田町にあるのはうれしいですよね。文化施設、なんていうとちょっとハードルが高そうですが、みなとコモンズは誰もがふらっと立ち寄れるスポット。ランチタイムにお弁当を持って訪れるも良し、アート作品に触れて心を落ち着かせるも良し。まずは気軽に訪れてみてはいかが?