三田の桜田通り沿いにあるこちらの白いオシャレな建物。
何に使われているかご存知ですか?
昨年9月に竣工した慶應義塾大学三田キャンパスの「東別館」なのですが、こちらに今年の4月、「慶應義塾ミュージアム・コモンズ」がオープンしていました(コロナ禍ということもあり、地元でもあまり知られていないかも・・・)。
慶應義塾といえば、田町が誇る日本を代表する大学でありますが、卒業生でも優等生でもない田町新聞にとっては
近くて遠い存在・・・
ところが!!
こちらの施設。地元の方もウエルカムだそうで、「ぜひ気軽に立ち寄ってください」と、担当の方からお声がかかりまして。それならば!と早速伺ってきました。
まず1階の大きな扉を入ると、広々としたエントランスが。年に数回展覧会が行われていて、その会場は主に3階の展示室。ということで、左側の階段をのぼって進みます(右奥にエレベーターもあり)。
ミュージアムとはいえ、建物自体や展示スペースはそれほど大きくありません。逆に言うと「さぁミュージアムに行くぞっ!」と気構えずに、ちょっと空き時間ができたらふらっと気軽に立ち寄れる印象です。
今回案内してくださった専任講師の本間さん。
「ミュージアムというと歴史系やアート系、自然系など決まった領域がありますが、ここではあえて特定の領域を設定していません」とのこと。名称の“コモンズ”には、慶應にあるさまざまな作品や資料が集まり、それに関わる先生や学生、学外の方、地域の方など、色々な方々が交流できる場にしたいという想いが込められているそうです。
なお、大学の正門から通りを挟んで斜め向かいには「慶應義塾大学アート・センター(KUAC)」がありますが、あちらは現代アート、とくに戦後日本の芸術を主たる領域としているとのこと。
2階の踊り場。後ろは大きなガラス張りで、表の桜田通りから裏の三田キャンパスまでをつなぐ空間となっています。踊り場では展覧会に関連する展示も。今回は学生がつくったというプロジェクションマッピングを体験できました。
学生さん、クオリティ高すぎやしないか・・・
振り返ると「オープン・デポ」と呼ばれる、ガラス張りの部屋が。
こちらは収蔵庫前の前室で、展覧会の準備や作品のチェック、学芸員がディスカッションなどを行なうスペースだそう。
「バックヤードで、本来は一般の方が見られるスペースではないのですが、ここは大学のミュージアムなので見せちゃおうと」(本間さん)
プロの現場を覗き見できる感じ。ワクワクしますね。
で、さらに階段を登って3階が展示室。
9月17日までは連携展覧会「オブジェクト・リーディング: 精読八景」が開催されています(展覧会の詳しい内容は下記noteがとてもわかりやすいのでここでは割愛させていただきます・・・)。
ちなみに慶應義塾ミュージアム・コモンズの略称はKeMCo(ケムコ)で、そこで活動する学生たちをKeMCoM(ケムコム)と呼ぶそう(MはMemberやMuseum、Modern、Metricsなどの意)。
職員とKeMCoMのみなさん、楽しそうな現場だなぁ〜
「大学の文化財って、いわゆるフェルメールとかそういう一般的にわかりやすいものではないので、とっつきにくいんですよね。ぱっと見、よくわからないモノも多い。
ただ、確実に面白いものではあるから、その距離をいかに縮められるか、学生さんたちの視点を取り入れて試行錯誤しています」と本間さん。
そのコンテンツのひとつがこちらのnote。
例えば今回の展示では、「エドガー・アラン・ポーの遺髪入りペンダント」なるものが出展されているのですが。それについて・・・
「日本人推理作家の江戸川乱歩(1894-1965)はそのペンネームを、ポーの名をもじっていたということを知りました。
探偵小説の創始者、ポーに挑むかのようなペンネーム。かっこいいです。
展覧会に来ると、知らないことにたくさん出会います。」
なんですかこのかわいいコメントは!
ほかにもやさしくていねいに解説されているコンテンツが盛りだくさん。展示会のタイトルや概要を見ただけではぶっちゃけ、
何が面白いんだろうか・・・、そもそも自分に理解できるのか・・・
と不安だったのですが、このnoteのおかげで一見難しそうな内容もぐっと身近に感じることができました。実際に訪れたときの楽しみが何倍にも増えること間違いなし。
必見です。
3階の展示室にはルーム1とルーム2があり
ルーム1でメインの展示を
ルーム2では、
展示されていた作品を別の切り口(デジタル)で楽しめたり
展示内容に合わせて選ばれた本を自由に閲覧できたりしました。
と、今回の展覧会はここまでですが、せっかくなのでほかの特徴的なフロアも見せていただくことに。
5階は実習室。
博物館実習など学生向けに作品・資料を扱う授業が行われるほか、ワークショップなども行われる予定。オシャレな理科室といった感じです。
大きな実習台やスロップシンク(底の深い流し)があるほか、展示壁面になっていて使い勝手が良さそう。田町新聞もここでなにかコラボイベントさせてもらえないかしら。
8階はKeMCo StudI/O(ケムコ・スタジオ)。
3Dスキャナーなどの機材で撮影・計測を行ない作品などをデジタル化できるだけでなく
3Dプリンターやレーザーカッターなども備え、デジタル化したデータをもとに工作も行えるのが特徴。
身近な場所にこんなかっこよくてクリエイティブな空間ができていたとは・・・。本間さんによると一般の方にも何かの形で使ってもらえるように検討中とのこと。
ぜひ実現してほしいなぁ。
またここでは同大学の卒業生、美術家 大山エンリコイサム氏の作品が見られます。柱とカーテンに描かれたモチーフが一体となって作品が構成されています。
このほか、9階には45名程度が入れるカンファレンス・ルームが。どのフロアも窓が大きくて気持ちが良い空間となっているのもこの建物の特徴です。
ということで、今回ご紹介した慶應義塾ミュージアム・コモンズ、略称KeMCo(ケムコ)。一年を通してさまざまな展示が行われる予定。無料で楽しめますし、ご近所ですし、
これはもうホント、行かなきゃ損!
ぜひWebやnoteをチェックして、気軽に訪れてみてはいかがでしょうか!(いまは緊急事態宣言が出ているため入館には事前予約が必要ですが、当日直前の予約でもOKです)
慶應義塾ミュージアム・コモンズ
■ 住所:東京都港区三田2-15-45
■ TEL:03-5427-2021
■ URL:https://kemco.keio.ac.jp/