以前、SHIBAURA HOUSEさんを取材させていただいたとき、
実は1階のフリースペースに気になる人物がいたんです。
が、強烈なインパクトにビビった田町新聞。
このときは、見て見ないふりをしておりました・・・
しかし、田町のためのWEBマガジンを名乗るからには、各方面で注目を集めているこの人物をもはや紹介しないわけにはいかない!
ということで、意を決して取材に向かいました。
ついにご登場いただきます!
楳図かずおさんです!!
グワシ!・・あっ指つった~!
え?あ、違いますね。失礼しました。
しゅんさくさんです!!
SHIBAURA HOUSEを利用したことのある方なら既にご存知かと思いますが、まだ利用したことのない方のために、まずは簡単にご紹介させていただきます。
しゅんさくさんは芝浦在住のアーティスト。こちらの記事でもご紹介したSHIBAURA HOUSEさんで、毎週火曜日の11時~16時、子どもが自由に遊べるスポット「しゅんさくの部屋」を運営されています。
田町新聞
「では早速ですが、“しゅんさくの部屋”を始めたきっかけを教えてください」
しゅんさくさん
「芝浦の都営住宅のそばに小さな公園があるんだけど、4年くらい前の真夏に制作をしていたの」
田町新聞
「ご自分の作品を作っていたんですね」
しゅんさくさん
「うん、それでちょうどお盆休みだったから都営住宅に住んでいる方のお孫さんとかがたくさん公園に遊びに来ていて、俺の画材とかで勝手に遊び始めたの」
田町新聞
「しゅんさくさん、怖そうじゃないっていうか、ちょっかいだしやすそうっていうか、親しみやすいっていうか、そんな感じですもんね」
ボーダー着てないのに、楳図先生にクリソツなのら~
しゅんさくさん
「その様子を近所のお母さん方が見ていて、これは絶対面白いって、たまたまその中に千葉の船橋のコミュニティに入っている方がいて、そこの公民館で“しゅんさくの部屋”を始めたの」
田町新聞
「あ、船橋が最初だったんですね~。でも、ということはしゅんさくさんが自らやろうと思ったわけでは・・・」
しゅんさくさん
「うん、全然ない。子どもそんな好きじゃないし」
いや、そんな風にはまったく見えませんけど・・・汗
でも、そんなことをさらっと言っちゃうのが、逆に信頼できる感じがするかも。
田町新聞
「意外でした。ルーツは公園で、しかもお母さん方の主導でスタートしたんですね」
しゅんさくさん
「うん、例えば今、“しゅんさくの部屋”の参加費は500円だけど、これもお母さん方が決めてくれて。ホント、お母さん方スゲーと思う」
しゅんさくの部屋の参加費は500円で、出入りも自由です。
田町新聞
「では、SHIBAURA HOUSEさんではいつから始められたんですか?」
しゅんさくさん
「一昨年くらいからSHIBAURA HOUSEの岩中さんと話をして、スタートしたのは去年から」
みんな、好きなように何かを作ったり、壊したり、運んだり・・・
田町新聞
「芝浦ではわりと最近だったんですね。ちなみに本業といいますか、作品作りのほうはどんなことをされているんですか」
しゅんさくさん
「俺のは抽象絵画なんだけど、今は東麻布の個人宅で壁画を書いたりしている」
とその壁画の写真を見せてくれました。
(ちなみに壁画の前にいるのはそのお宅のお子さん。なぜかジュースを一気飲みしています・・・)
田町新聞
「すごーい、本当にアーティストだったんですね!
いや、疑っていたわけではないんですけど・・・」
しゅんさくさん
「そこは1週間に1回2時間だけという風に通って少しずつ作業しているの」
田町新聞
「ちなみに“しゅんさくの部屋”をやっていて困ったこととか大変だったことは?」
しゅんさくさん
「うーん、とくにない」
(いや、そんな、子どもが相手なんだしに色々あるでしょ!)
田町新聞
「じゃあ、やっていて良かったこととか嬉しかったことは?」
しゅんさくさん
「うーん、とくにない」
(そんなはずないでしょー!!まったくシャイなんだから)
ひょうひょうとした受け答え
田町新聞
「モンスターペアレントとか最近よく聞きますけど、そういった人たちは来ないですか?」
しゅんさく
「俺のとこには来ないねー、来ても俺、ガチで言っちゃうからな。お母さんがおかしいですよ、子どもは正しいですよって」
この人、実はカッコいいのかもしれない・・・
田町新聞
「でも、言いにくいんですけど、ぶっちゃけオジサンが一人でいるわけで・・・初めて来たお子さんとかお母さんとか、抵抗なく参加できるものですか?」
しゅんさくさん
「たぶんね、俺のこの感じだから、いいんだと思う」
た、確かに・・・スゴイ納得。
このつかみどころのない感じ、アーティスト特有といいますか、常人とは違うといいますか、そこがしゅんさくさんの魅力なのかも。田町新聞、かなり人見知りなのですが、しゅんさくさん相手だと、全然緊張せずに喋れるし。
やっぱりスゴイ人なのではなかろうか・・・
しゅんさくさん
「俺、幼児教育の勉強をしてるわけでもないし、教育について思想があるわけでもないし、逆にそれがよかったんじゃないかな」
田町新聞
「なるほど、ここでは何かを押し付けるようなことがないんですね」
しゅんさくさん
「うん、全然ない。何をやってもいい。落書きしても、散らかしても、破壊してもいい」
お母さんだって一緒になってやりたい放題。
しゅんさくさん
「あと、俺が男だったのもよかったのかもしれない」
田町新聞
「というと?」
しゅんさくさん
「子供を連れてくるのはお母さん方が多いから、例えば、同じことでも女の人に言われるとカチンときたり、そういうこともあるかもしれない。あと、俺はお母さん方の会話には入っていかないしね」
なるほど、“しゅんさくの部屋”は子どもが楽しいだけでなく、お母さん方がそばにいやすい空間なんですね。とはいえ、もちろんお父さんも大歓迎です。
しゅんさくの部屋は4畳のスペース。すぐ隣ではお母さん方がおしゃべりしたり、コーヒーを飲んだり、気ままに過ごしています。
しゅんさくさん
「よく分からないからいいんだよ。PTAでもないし、保護者でもないし、そういう存在って貴重じゃない?近所の小学生とかはね、俺のこと誰かの親御さんかもしれないけど違うよねっていうのが共通認識 笑」
田町新聞
「ちなみに“しゅんさくの部屋”に置いてあるものには、何か意味があるんですか?」
しゅんさくさん
「色は気を付けているかな。できるだけ補色の関係にあるものを置くようにしている。あと、わざと色をバラして置いている。黄色は波長が長いから手前に置くとうるさいけど、奥に置くと目立たなくなるとか、自然と勉強になるでしょ」
折り紙やペン、テープなどの文房具だけでなく、キッチン用品なども用意。子どもたちは決められた遊び方ではなく、自由な発想で楽しみます。
適当に置いていたのではないんですね・・・
しゅんさくさん
「段ボールだけ、SHIBAURA HOUSEさんに置いてもらっていて、あとは全部、毎回スーツケースとボストンバックに入れて持ってくるの。雨降るときついんだよ~」
このかばんに入れて毎回、ゴロゴロ運んでくるそうです。
しゅんさくさん
「あとね、できるだけ子どもたちを閉じ込めないようにしている」
田町新聞
「ほう、専用の部屋にしないということですか」
しゅんさくさん
「そう。子どもだけの空間に閉じ込める傾向にあるじゃん。でもね、例えば泣いたり叫んだり、子どもってこういうものだよって、きちんと大人たちが知って理解するのも大事だと思うんだよね。最初っからそういうもんだとさ。」
すぐ隣のフリースペースでは、打ち合わせをするサラリーマンや雑談をするおばあちゃんも。付かず離れず、ちょうどいい距離で子どもたちを見守っています。
田町新聞
「確かに、昔に比べると大人と子どもが一緒にいる場って減っている気がします。大人の理解も必要ですよね」
しゅんさくさん
「あとね、こういう広い空間で4畳だけにしてるのは、子どもの空間認識能力を鍛えるのにもいいかなって」
田町新聞
「空間認識能力?」
しゅんさくさん
「広い空間の隅っこでこういう風に畳を敷いてやると、この中は遊んでいい、ここから出たら駄目とか、自分が今どこにいるかを把握しようとするの。広い空間を全部使ってしまうとそうはならないんだよね」
田町新聞
「意外と考えられているんですね」
しゅんさくさん
「意外とね」
既製品のおもちゃが一切なくても、“しゅんさくの部屋”では子どもたちが楽しく遊んでいます。
お子さんのいるお母さん、お父さん、
子どもや大人がそれぞれ自由に過ごせるステキな空間が田町にはあります!
家でも学校でもないちょっと変わったサードスペースへぜひ遊びに来てみませんか?