※編集部注:こちらのお店は2020年7月3日に閉店されました
どうも、身体はほぼ炭水化物でできています。
健康とはおおよそ無縁な田町新聞のノグゾーンです。
皆さんは“バインミー”って知っていますか?
バインミーは、フランスパンを使ったサンドイッチで、ベトナムのファストフードかつソウルフード。パンの原料には米粉を使用しており、外はカリッと、中はもっちりした生地。具材は、ベトナムハムやレバーペースト、パクチー、なますなどが入っているそうです。
日本でも、ここ数年、野菜たっぷりで超健康的!!と、その美味しさも相まって耳の早い人たちを中心に支持を集め、近年扱うお店も増えて、ファストフードの新たな定番となりつつあるようです。
ちなみに、ノグゾーンは知りませんでした。(もはやテンプレ)
そんなバインミーが田町で食べられるということで、やってきました。
場所は、三田にある慶應義塾大学の正門側の通り沿いで、正門から道路挟んだ反対側らしいのですが……
んん? オリエンタル風なカフェという噂ですが……
あれ? 確かここらへんのはずだけど……。2階は、慶應義塾大学の学生とその学生と交流したい企業しか入れないという秘境『知るカフェ』だし。(それはそれで田町新聞の方が知りたいですが)
どうみても薬局。
確かにウワサ通り、かなーーーーり健康に気を遣ってそうだけど……
住所はココだし、とりあえず入ってみるか……。
ん? んん?? これ……
やっぱり薬局じゃない???
どう見ても薬局(2回目)
あれ? バインミーは健康に良いとは聞くけど、ここかなりダイレクトに健康扱っているっていうか、むしろ薬局以外の何物でもない気がするんですけど。
処方箋、受け付けてるし。
そもそもアイビス薬局って書いてあるし。
ここ絶対違うわ。
「Oriental Cafe LUNCH TIME」の文字が
ただ、左側にあるカフェっぽい看板が存在を主張している……
扉が右側と左側で別の色に塗り分けられている。キカイダーなのか
あれ? 二つで一つの扉っぽいけど、もしやこれ……左側の扉を開けるんじゃない??
こ、こんにちは〜〜〜!!
Tap Hop(タップホップ) 菅原さん
菅原
「あ、入り口分かりました?」
ノグゾーン
「店長さんですか!? まさか入り口からトラップがあるとは思いませんでした。何ですか、これは? お店と隣の薬局がくっついてるんですか?」
笑顔で迎え入れてくれた菅原店長
菅原
「そうなんですよ。正確に言うと、一つの店舗を二つに分割してるんです。うちに来ようとして薬局に入っちゃったり、逆にこっちのカウンターまで処方箋持ってきた方もいらっしゃいます」
健康への本気度が違いますね。
Tap Hop 店内全景
中はちゃんとしたカフェでした
あえて今風に言うなら、ブックカフェならぬ薬局カフェですね。
ノグゾーン
「何でこんな構造に?」
菅原
「元々、Tap Hopは鎌倉でバインミーが食べられるお店としてオープンしたんですが、2018年に東京へ移転することになって、薬剤師でもあるオーナーが三田で所有していたこのアイビス薬局を分割して開店することになったんです」
モーゼの十戒かっていうくらい真っ二つ。
あまりに目立たなすぎるお店の入り口に頭を抱えている菅原店長
菅原
「元々、薬局だった半分を多国籍カフェにしようということで、頑張ってカフェっぽくしました(笑)。まだまだお店作りの途中ですが、何より入り口問題」
ノグゾーン
「この入り口はさすがに入るときに迷っちゃいますね……」
菅原
「そもそも、ここが大通りから完全な死角で横断歩道を渡っていても見えない上に、薬局の看板しか目に入らないですからね。辿り着いてくれたお客様に聞くと、他のお店に行く途中で『何かあるな……』って気が付いたとか、近くのサンドイッチ屋さんと間違えて入ったとか、最初そんな方が多いです」
ノグゾーン
「夏休みに子どもが雑木林に作る秘密基地みたいですね」
菅原
「入り口さえ入ってもらえれば料理には自信があるんですけど、ただ、入ってくるまで何屋か分からないみたいなところもあるんで」
Tap Hopと薬局を隔てる引き戸式扉
Tap Hop側にあるトイレは隣の薬局と共用なので、薬局に来たお客さんが引き戸から緊急入店してくることも。
メインのメニューボード。グリーンカレー、ガパオライス、バインミー、ドリンク類などが書いてあります
小さなPOPがこんなところにも
メニューの多くは手書きで可愛らしい。バインミーは、ガイヤンチキン、ローストポーク、ハム&レバー、ベジタブルの4種類(各730円、ドリンク付き780円)。時期によってラインナップも変わるとのこと
ノグゾーン
「なぜバインミーをメインにしたんですか?」
菅原
「オーナーがベトナムでバインミーを食べて感動して、お店をやろうと決めたみたいで。バインミーの美味しさと健康に良いところが引っかかったようです。ウチのオーナーは世間より“先に、先に”やっちゃうところがあるんですけど、バインミーも流行る前からやってて勘が鋭いんです」
多種多様な食材を収めたショーケース。「すべての料理を細かくチェックしながら作っている」という菅原さんは、料理に一切の妥協を許さない
ノグゾーン
「オーナーさん、先見の明があるんですね」
僕なんかバインミーと聞いたとき、名曲『スタンド・バイ・ミー』の亜種かと思いましたからね。
菅原
「バインミーは、オーナーが本場のベトナム人を呼んで監修したんですよ。ベトナムではレタスは入れないんですが、野菜を摂りたい日本人向けにレタスを入れてアレンジしています」
レタスもたっぷり。日本では定番ですが、ベトナムでは暑さでダメになりやすいレタスを入れることはあまりないそうです
じゃーん! Tap Hopの看板メニュー“ガイヤンチキン”。見て、このボリューム。野菜もこれでもかとたっぷり。肉がジューシーだけど野菜でサッパリ、米粉のパンも香ばしくてモチモチで美味しいです。食べ応えあります。15時まではドリンク付き
菅原
「ガイヤンは、タイの照り焼きローストチキンみたいなもののことで、これも自家製です。パンは、業者さんで米粉のパンを5〜6種類扱っているところがあって、そこから選んでいます」
バインミーの“ベジタブル”はさらにヘルシー。アボカドやトマトが入って女性人気高し
ちなみに、“バインミー”の言葉は本来ベトナムで「パン」のことを表すようで、サンドイッチは“バインミーケップ”や“バインミーパテ”などと呼ぶようですよ〜。
「元々、学生の頃から食に興味がありつつ、他の国やその国の人や文化を知ることがすごく好きで。普通の料理やるなら、そういう方がいいかな」ということでTap Hopを選んだという菅原さん
菅原
「メニューはバインミーをメインに、タイ料理や台湾料理などもあって多国籍な感じです。ご飯は、日本人が食べやすいようにタイ米に白米を混ぜています。健康を気にして雑穀を混ぜてみたり。それに、他のお店では食べられないようなクオリティのものを材料から調理方法まで工夫して作っています」
ノグゾーン
「オーナーさんが薬剤師、お店も薬局とくっついているということで、メニューも健康に気を使いつつ?」
菅原
「そうですね。会社の大元が薬局なので、健康に良いものしか出せないですよね(笑)。既製品や化学調味料、上白糖も極力使わないで、一から作るヘルシーなものを提供しています。お昼時には、お弁当もご用意しています」
店長自慢のグリーンカレー(880円)。正直このお値段はかなり頑張っているとのこと。独自に調合した香辛料と香草の爽やかな風味が、ココナッツのクリーミーなルーに溶け込み濃厚な味が楽しめる。こちらも野菜がたっぷり
菅原
「グリーンカレーは、タイの生姜やバイマックルー(コブミカンの葉)、レモングラスの茎やにんにくなどが入った緑色のペーストがあるんですけど、さらにタイのハーブを嵩増しして、もっと強めにしました。倍の量にしてミキサーにかけて、ココナッツと牛乳でトロトロになるまで煮詰めてから、それをまた加えたりとかして手間暇かかっています」
南国の缶
店内のところどころに、鎌倉店時代の名残でビーチテイストが。「東京に疲れて自然のある鎌倉の店舗に入ったんですが、1年くらいで大都会にカムバックしちゃいました」と笑う菅原さん
菅原
「ベトナムコーヒーも飲みます?」
ということで、目の前で淹れてくれることに。
ベトナム製のドリップカップを使って、ローストして挽いたコーヒー豆にお湯を注ぎます
ドリップ中です。しばしお待ちください
菅原
「ベトナムコーヒーは、ベトナムのブランド“チュングエン”のコーヒー豆を使い、コンデンスミルクがたっぷり入っています。飲んでみると、甘くてチョコレートみたいな風味がしますよ。ベトナムのように温暖なところでは、甘いものが好まれるんです。ヨーグルトコーヒーも、『えっ? コーヒーにヨーグルト??』と思うかもしれませんが、これもすごく合うんです。本国でもメジャーな飲み物です」
できました。美味しそう~! 写真左のヨーグルトコーヒー(580円)は、ヨーグルトとコンデンスミルク、シナモン、レモンが入っており、濃厚でいて飲みやすいんです。写真右が、ベトナムコーヒー(430円)。苦みと甘みのコントラストが疲れた体を癒してくれます
ノグゾーン
「確かに、コーヒーの苦味にコンデンスミルクの甘さが加わって、まるでチョコレートみたいな味です」
菅原
「ベトナムのコーヒーは基本的に甘いんですね。インドもそうですけど、暑いところは糖分を摂りたくなるんで甘いんです。ただ、ウチのでも、コンデンスミルクはベトナムに比べて3分の1しか入れていないんですよ。ベトナムだったら、半分以上入っています。それだと甘すぎるし、ウチは薬局を経営してるのに、みんな糖尿病になっちゃったら問題なので日本仕様にしています(笑)」
珍しいアーティチョークティー(430円)も用意。アーティチョークは、フランス料理では焼いたり煮たり、前菜でもよく登場する野菜。食べながら飲むと、抗酸化作用、腸内デトックス、むくみ改善が期待できるそう。初めて飲んだけど、飲みやすいです
リラックス、美肌効果、不眠症に効果ありなどドリンクも健康志向。季節によってメニューも変わるそう
ノグゾーン
「多彩なメニューですね。バインミーもグリーンカレーも美味しいし、料理の腕前スゴくないですか?」
メニューの料理は、お好みで具材のトッピングを追加できる。店内には、ヌクマム(ベトナムの魚醤)やナンプラーなどの調味料も用意
菅原
「以前勤めていた表参道の店でイタリアンやフレンチ出身のシェフのもと、相当鍛えられました。アパレルショップが経営してたカフェで、デザイナーさんからのOKが出ないと料理が出せないような、味にも見た目にも厳しいところでしたね。なので、料理には自信があるんです」
手作りのベトナムバナナケーキ(500円)。大使館の人が「箱で欲しい」と買いに来たことも
菅原
「それに、私は調理師専門学校で学んだ後に製菓学校も出ているんで、デザート作りも気合いが入っています!」
有能すぎか。
菅原
「最近では、大口注文もあります。プロジェクトが終わった後のお疲れ様会にケータリングの注文とか。ありがたいですよね、うちのお弁当とか食べて信頼してくださっているから。『任せる』って言っていただける。嬉しいですね」
取材時に居合わせた常連さんと。世界中を飛び回り美食を極めたご婦人も「ここのお店は何でも美味しい」と太鼓判
菅原
「味を変えられると嫌なシェフとかいると思うんですけど、私はお店に来たお客様が自由にカスタムして食べてもらいたいんですね。もちろんベースはこちらできちんと作った上で、自分の好みの味に調整して楽しんでほしいっていうのがあります。好きな味が一番!」
「鎌倉ではサーフィンをやってました。ボードも持っているんですが、今は完全な都会の陸サーファーですけど」と、菅原さんは話にちゃんとオチまでつける
菅原
「一度お店に来ていただけると、『応援したいから』とご友人を連れてきてくださったり、お客様は口コミで広がっています。周りにもよくしていただいていて、ご近所付き合いや常連さんも多くて。私、お客様とすぐ仲良くなれるみたいで(笑)」
ノグゾーン
「菅原さん、すごく話しやすいですもんね」
菅原
「ありがとうございます。週5で来てくれる方もいるし、上の階の『知るカフェ』の人やハンガリー人、大使館の人が来たり、閉店後に一緒に飲みに行ったりもしていますね(笑)」
ノグゾーン
「そのコミュ力が欲しい」
「写真はドラマの脇役で写ることがあって、それ以来で緊張します」とほほ笑む菅原さん。またこの笑顔に会いに来たくなります
菅原
「あと、男性のお客様にももっと来てほしいですね。田町は比較的脂っこかったりコッテリした料理を出すお店が多めな印象ですが、1週間に1回リセットしませんかと。たまには、ウチで野菜食べない?みたいな」
ノグゾーン
「現代人は圧倒的に野菜が不足してますもんね」
菅原
「毎日脂っこいものを食べ続けてメタボリックな方向にいくか、週に1回でもTap Hopで健康にいいものを食べるか! どちらかに一つだと思います(笑)」
はい! Tap Hopでバインミー食べます!!
ということで、まるで隠れ家のように不思議な店内構造をしたTap Hopの正体は、薬局を分割してオープンした健康志向のオリエンタルカフェでした。ベトナムのバインミーも初めて食べましたが、美味しくて体にも優しいなんて最高ですよね。
腹持ちのいい炭水化物だけを流し込んで生きてきたノグゾーンは、食生活について改めて考えさせられました……。
皆さんも田町全体の健康にまで気を使ってくれるTap Hopで、美味しくヘルシーな体内リセットはいかが?
※なお、本文中の価格表記はすべて税込み表記となります。
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Tap Hop(タップホップ)
東京都港区三田3-1-5
03-3457-3339
営業時間:11:00〜19:00(L.O. 18:30)
営業日:月〜金曜日
定休日:土日・祝祭日
http://www.taphop.jp/
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