祝書籍化!田町で生まれ育った19歳の東京藝大生が描く「おじさん日記」はなぜ生まれたのか

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田町在住のアーティストRYO OGATA(リョウ オガタ)さん。その活躍は「Yahoo!ニュース」をはじめネットニュースで注目を集めているので、ご存知の方も多いハズ。まだ19歳という若さ。しかも現役の東京藝術大学の学生さんなのですが、なんとこの3月に作品が書籍化されることに!

これはめでたい!地元メディアとしてもぜひ応援したい!ということで、生まれ育ったここ田町でインタビューをさせていただきました。

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19歳にしてすでにアーティストの風格・・・

こちらが3月11日(木)、小学館集英社プロダクションから発売されるイラストブック「おじさん日記」

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57歳、経理課課長「竹田まさる」の日常がシュールなエピソードとリアルな筆致で描かれています

——「おじさん日記」はいつどのようにして生まれたのですか?

「2019年に初めて開いた個展がキッカケです。居酒屋「鳥駒(とりこま)」の店主、林さんが自分の絵を気に入ってくれていて、高校3年生の夏にお店で個展をやらせてもらえることになったんです」

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2019年に三田の慶応仲通り商店街にある居酒屋「鳥駒」で初めて開催された個展の様子。たった1〜2年しか経っていませんが、この頃はまだあどけない表情!

「居酒屋といったらおじさんが一番来ている、おじさんが盛り上がっている場所、あと僕が住んでいる田町で一番多く見かけるのがおじさんというイメージがあって」

——確かに田町は会社が多いからか、どちらかというと女性より男性、しかもおじさんが多いですよね。私も・・・笑

「それで、この街で作品を作るなら“居酒屋でおじさんの作品を展示する”というのが面白いなと思って。そこが原点、キッカケですね。
個展ではおじさんをテーマにした作品を色々と展示したのですが、飾って鑑賞するのとは別の媒体というかカタチでなにか作れないかと思って」

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最初は個展のために作ったというおじさん日記。来てくれた人が自由に読めるように、店内の机の上に置いて展示していたそう

「たぶんそれはおじさんの絵ばかり描いていたなかで芽生えた気持ちで。ひとりの架空のおじさんがもしも日記をつけていたら、おじさんってどういう気持で暮らしているんだろうって。しかも絵日記っておじさんはまずつけないじゃないですか。おじさんになりきってそれを毎日つけていったら何が起こるんだろうと、自分が知りたくてはじめたというのもありますね」

確かにおじさんは絵日記つけないよなぁ〜。おじさんが絵日記を書いている姿を想像しただけですでに面白い 笑

——そもそも絵を描き出したキッカケは?

「子どものころから、暇なときや好きなときに絵を描いていました。父親が画家※なので、展示の手伝いとか絵画展とかにたまに連れて行ってもらっていて。とはいえ、絵の英才教育を受けてきたとかはないんですが。
小学校3年生でサッカーをはじめて、中学校でも陸上をやっていたので、絵を描くということからは少し離れて。でも、時間があったり書きたいなと思ったりしたときには描いていました」

※父親は抽象画家の尾形純さん。ちなみに曽祖父も伝統工芸の彫金師だったそう

実は鳥駒の店主、林さんはRYO OGATAさんが小学生のころ、サッカーを教えていた恩師。今でも御田小学校などを拠点に少年サッカークラブの活動をされています。

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鳥駒の店主、林さん(写真左)。ちょっと照れながらも教え子の活躍に嬉しそう!

林さんのご厚意で今回のインタビューも鳥駒の店内で行いました。

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お酒に囲まれてインタビューをしていますが、RYO OGATAさんはまだ未成年のためお酒は飲めません 笑

——RYO OGATAさんの絵はかなり個性的な画風だと思うのですが、子どものころから今のようなタッチだったのですか?

「中学生の終わりに日本画の展示を見に行って。それまで父と行っていたのは西洋画の展示が多くて日本画は初めてくらいだったのですが、河鍋暁斎(かわなべ きょうさい)の絵を見てすごい衝撃を受けて。自分もこんなものを描いてみたい!とそのとき初めて思って。それから筆をとって今のような日本画を描くようになりました」

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鳥駒さんに飾られているRYO OGATAさんの作品。筆と墨、水彩絵の具で描かれているそう。こんなに細かい絵を筆で描いているとは!ちなみに、おじさん日記は絵日記なので鉛筆と色鉛筆で描かれています

——子どもの頃からアートに近い環境で育ってきたのもいい影響を受けていそうですね

「確かにどちらかというとアートが身近にあった家庭かもしれません。母親もいまはインテリア関連の仕事をしているのですが、若いころは絵を描いていて。子どものころ両親に絵を見せても、これはよくないとか、否定的なことは一回も言われた記憶がなくて。何を描いてもちゃんと感想を言ってくれる。自由に描きたくなる環境がすごい僕にあっていたと思います」

すばらしい!編集長なんて父親に褒められた記憶なんてまったく(以下略)

——でもいまは美大の最高峰といわれる東京芸術大学に通われていて。受験のためのデッサンなどは大変だったのでは?

「実は僕がいま通っている先端芸術表現科は1次試験が“デッサン”か“小論文”かを選べて。小論文にしました。最初、日本画専攻を目指していた時はデッサンも描いていたんですが高校2年生のときに先端芸術表現科を見つけて。ここくらいしか受けられないと思って 笑

それでも受かるのはすごいかと・・・

「あと個人資料ファイルの提出が必要で、それが評価の大きなウェートを占めているらしく。ここ(鳥駒)での展示とかこれまでの活動をまとめて出しました」

なるほど。ということは、高校生のときに個展を開けたことは、人生の大きな転機になっているのでは!?おじさん日記の書籍化の話も個展をしていなかったら無かったかもだし・・・

——こうやって話していてもとっても自然体だし穏やかに見えるけど、実はかなり積極的な性格?

「もともと人と関わるのが積極的なほうではなかったんです。でも展示で自分の絵をわざわざ見に来てくれる人がいたという体験がキッカケで楽しいと思えるようになって」

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相手の目をきちんと見て、丁寧に話してくれる19歳(むしろ編集長のほうが取材に緊張していました・・・汗)

「あと母が結構マネージメントしてくれて、鳥駒さんで個展を開いたあとに芝の正伝寺さんでも個展を開かせてもらったのですが、それも母がこういうお寺があるからちょっと話しに行ってみたら、とか色々サポートしてくれて」

あーーーなんてステキなご家族なの・・・
(実は田町新聞にRYO OGATAさんの個展を最初にお知らせしてくれたのもお母さまでした)

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2019年12月に正伝寺さんで個展を開いたときのフライヤー。このときは「老い」をテーマに展示をおこないました

——これまでの個展ではおじさんや老人を描かれていましたが、ふだん作品をつくるうえでテーマのようなものはあるんですか?

「大きなテーマとしては人の顔、人間観察。それはたぶん、田町という都会で生まれ育って、一番多く接しているのが自然でもビルでもなくて人だからそうなったんだと思います。
さらに言うと、年をある程度取っている人のほうが様相にバリエーションがあるというか。喜怒哀楽どこの表情にも分類されない顔みたいな。そういうものが見ていてあるし、そこを描き出すほうが僕にとってはやりがいがあるなと。人の表情にとくに惹かれますね」

——絵を描くときは実際の人物だったり写真だったりを見ながら描いているんですか?

「小さいときから何かを見て描くというよりは、自分の頭の中にあるものを描くという感じですね。外に出てスケッチしたりメモしたりすることはほとんどなくて。観察してやろうという気もなくて、自然に見ている感じですかね。あと、基本的に制作は家でしかしないです。」

何も見ずにこんな緻密な絵が描けるなんて!うらやましくて仕方ないです・・・

——おじさん日記は絵もさることながら、ストーリーがとても面白くて、なんとも言えない哀愁を感じるというか。毎回どうやって考えているんですか?

「おじさんからの目線でいるつもりなんですけど、やはりどこかで19歳の大学生の僕としての目線も加わってきてそれをまさるが代弁している。ふつうそこで乖離が発生すると思うんですけど、でも意外とおかしくない。
ということは、おじさんって表層的なことじゃなくて普段の習慣とか考え方がおじさん化しているというのはあると思うし、見た人が共感してくれているということは、きっと誰しもおじさんを心のなかに住まわせているところがあるのかな」

その発想、そして独特の間合い。きっとRYO OGATAさん自身が面白いんですよね・・・

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毎回、くすっと笑えて、おじさんの哀愁も感じる。よく思いつくな〜、本当に19歳の現役大学生?って思っちゃいます

「こういうことを書いて共感してもらおうとか、こういうことを書いたら面白い、というような心構えで書いたというよりは、まさるだったら何を感じているか、僕だったらどう思うか考えて、まさるがひとり歩きしていった結果になっています」

面白い文章が書けないと毎回ウンウン唸っている編集長とは大違い・・・汗

と、ここで取材に同席されていた小学館集英社プロダクションの木川さんにもお話を伺いました。

——ネットニュースで注目を集めていたとはいえ、現役大学生のイラストブックを書籍化というのは、なかなかハードルが高そうですがどういう経緯で?

「これから世にもっと出れば、という方を見つけるのは私たちの一つの仕事でして。RYO OGATAさんの場合、画風がすごく特徴的なので初めて作品を見たときシンプルにこの人の本を作りたい!と思ったんです。それが広く受け入れられるものかはわからない。けれどもやっぱり少しでも知ってもらいたいという気持ちですよね」

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田町新聞がインタビューで撮影している様子をさらに撮影している木川さん(右上)

——そうは言っても、個人の思いだけで書籍化できるものでもないですよね?当然ビジネスなので・・・

「はい、そこはものすごく難しい。社内の企画会議に出してもなかなか通りませんからね。今回もRYO OGATAさんの作品を机の上に並べて、通るかなぁ、どうしようかなぁって、会議の資料を作りながら悩んでいたんですよ。
そうしたら、たまたま後ろを通った部長の目に入って。それで“これを次の会議で出そうと思うんです”って話をしたら。その場で“よしやろう!”ってなって」

ドラマのような展開!

「RYO OGATAさんの絵はそれだけ力があった。通りがかりにちらっと見ただけで、あ、面白い!というのを感じたんだと思うんですね。きちんとしたプレゼンをする必要もなく、私は楽でした 笑」

ちなみに以前個展で展示していたおじさん日記は、おなじみショウワノート「ジャポニカ学習帳」の絵日記につけていましたが、書籍化にあたり、フォーマットをそのまま使っていいという許可も得られたそう。なんて寛容なの、ショウワノートさんありがとう!

ということで、今後の活躍がますます楽しみなRYO OGATAさん。地元から生まれた新時代のアーティストとして、田町新聞でも全力で応援していきたいと思いますよ!まずはみなさん、3月11日(木)発売の「おじさん日記」をぜひチェックしてくださいね〜。

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→3月11日(木)「おじさん日記」出版記念イベント(トーク&サイン会)
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