実は、前を通るたびに気になっていた。

新しいオフィスビルの一階に、昨年末オープンした「芝浦とりまち」。のれんが大きくて、妙に目立つ。オープンカウンターがメインの店舗は、ガラス張りで、スタイリッシュで“いい意味で”なんか田町っぽくないというか、中目黒あたりにありそうな雰囲気だ。

「鳥しき」は、ミシュランガイドにも掲載されてきた東京屈指の焼き鳥店。その店主・池川義輝さんが率いる「鳥しき ICHIMON」が手がけた、もっと気軽に楽しめる新業態が「とりまち」。中目黒、原宿に続く3店舗目として、この芝浦にやってきた。

スタッフのみなさんが元気で気持ちがいいのも、このお店の売り
芝浦への出店は、エリアの再開発が進み、オフィスワーカーや近隣住民が増えているこのまちに、幅広い世代が楽しめるカジュアルな焼き鳥の場をつくりたいという思いから。ちなみにブランド名の「まち」という字には、まちに根付いた店をつくるという意味が込められているそう。
運河沿いのロケーションを生かした店舗
運河に面した側も全面ガラス張りで、外にテラス席があるのもこのお店の大きな特徴。芝浦は運河のあるまちなのに、そのロケーションをうまく生かした飲食店が少ない。アブラッチョ以降、ようやく新しいお店が誕生した感じ。地元にいる者としてはこの流れ、ぜひ続いてほしいなぁと思う。

メニューの柱は、焼き鳥・鶏の煮込み・釜飯の「三種」。その中心は、あくまでも焼き鳥だ。

「居酒屋にある焼き鳥ではなく、焼き鳥屋がやっている居酒屋」——この言葉がこのお店のコンセプトをうまく表している。昭和の食堂にあったような鶏の煮込みや、手の届きやすい価格帯の焼き鳥。そういう焼き鳥屋さん本来の楽しさを取り戻したい、という思いがベースにあるそう。
「近火の強火」という鳥しきの流儀を受け継ぎ、塩を振って焼くだけではない。中心温度を意識した焼き方や、揚げ焼きに近い技法、日本酒を塗りながら水分を保つ方法など、部位ごとに最適な火入れを行っている。鳥しきから継承したスーパーバイザーがスタッフを指導し、焼きのテストに合格してから現場に立つという体制だ。一部にはブランド鶏の「伊達鶏」を使うなど、食材へのこだわりもみられる。
迷ったら、まずはここから
初めてなら、やっぱり焼き鳥からいきたい。定番の串に加えて、山椒焼きは外せない。博多の皮焼きをアレンジしたもので、香りの高い山椒がたっぷり効いている。雪見つくね(チーズを振りかけたもの)や月見つくね(卵の黄身と合わせて食べる)といったメニューも。
釜飯もぜひ頼みたい一品。「鳥しきそぼろ釜飯」は、鶏そぼろに卵が乗ったシンプルだけどしっかりした味。できあがりに20〜30分かかるので、早めに注文しておくのを忘れずに。

煮込みは味噌仕立てで、土手煮に近い昔ながらの味わいだ。

焼き鳥が続いて塩味が気になってきたら、大根おろしを口直しに。カウンター焼き鳥の文化から受け継いだお店おすすめの食べ方だという。
おしゃれな空間なので、デート利用の若者が多いと思いきや、近隣住民やオフィスワーカーが中心だという。落ち着いていていい意味で品がいい、という感じ。音楽はある程度の音量で流れているので、カジュアルな会食や気の置けない仲間との食事など、気軽な集まりに向いていそうだ。
事前の予約がおすすめ、貸し切りも可
オープンから暫く経つものの、リピーターも増えており、満席の日も多いそう。週末はもちろん、平日も予約を入れておく方が確実だ。
ちなみに貸切にも対応していて、テラス席を組み合わせた立食ビュッフェ形式など、予算や用途に合わせた相談も可能とのこと。自分たちのグループだけに焼いてもらえるのは、運河沿いの立地も相まって、特別な気分を味わえそう。
名門の焼きの技術と、庶民的なあたたかさ。そのふたつが、芝浦のまちに根付こうとしている。まだの方はぜひ、あの大きなのれんをくぐってみて。
芝浦とりまち
場所:港区芝浦3-6-14 Expert Tamachi 1F
営業時間:平日17時〜23時、土日・祝日15時〜23時
定休日:不定休