三田に移転した“元祖”原価BAR。ユニークなのは店名だけじゃなかった

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3月に慶応仲通り商店街にオープンしたダイニングバー「原価BAR 三田本店」。

原価、しかも本店、さらにコロナ禍のオープン。いろいろと気になったのでお話を伺ってきました。

場所は慶応仲通り商店街のメインストリートから一本入ったところ(以前日比谷Bar 三田店があった場所)。小路にあって、まさに大人が通うバーにはぴったりな雰囲気

お話を伺ったのは共同経営者の柳谷智宣さん

実はこの方。IT系を中心にライターとして長年活躍されている有名人。わたしも以前パソコン雑誌の編集部にいたとき、かなりお世話になっていたんです。

田町新聞
「まさか柳谷さんと田町で、しかもこんなカタチでお会いできるとは思いませんでした。バーを運営されていたんですね」

原価バー 柳谷さん
「はい。僕、お酒が好きで

毎日浴びるほど飲むんですよ。

そもそもライターになったのもお酒が飲みたいからだったので」

田町新聞
「浴びるほどって・・・笑
いったいどのくらい飲むんですか?」

原価バー 柳谷さん
「ウイスキー一本とか飲んじゃいます。若い頃はいまの2倍強かったですけど」

田町新聞
「そ、それはスゴイ・・・汗
でもお酒が飲みたいからライターになったってどういうことですか?」

原価バー 柳谷さん
「若いころはお酒が好きだからバーテンダーとして働いていたんです。でも当たり前だけどみんなが飲んでいる間は飲めない。それで夜の仕事は辞めた。でも飲むためにお金と時間がほしい。僕、朝まで飲むんで普通の仕事は難しい。で、ライターになったんですよ」

田町新聞

「どんだけお酒好きなんですか!

とはいえ、わたしも同じ業界にいたのでわかるのですがライターで稼ぐのは大変じゃないですか?そもそも経験があったんですか?

原価バー 柳谷さん
「いや、未経験で編集プロダクションに入って。数ヶ月死ぬ気でやったんだけど、なかなか一人前にはなれなくて。わりと何でもそつなくこなせるタイプだったので、そこで逆にこんな面白い世界があるのか!と火がついたというか」

柳谷さん、そのうち“激レアさんを連れてきた。”に出ていそう・・・

原価バー 柳谷さん
「一年ぐらいでブレイクスルーして、ライターとして立ち回れるようになって。ちょうどそのあたりからパソコンやインターネットが普及していって仕事もどんどん増えていった感じですね」

田町新聞
「いまもライターを続けられているんですよね。バーをはじめたキッカケは?」

原価バー 柳谷さん
「ライターで稼げるようになって、いつかどこかにお店を持ちたいなと思っていたときにいまの共同経営者と出会って。編集プロダクションを辞めてライターとしてはフリーになって2011年、最初の原価バーをオープンしました」

田町新聞
「インパクトのあるネーミングだと思うんですけど、“原価バー”にしたのはなぜ?」

シンプルでインパク大なネーミング。いったどんなお店か気になりますよね

原価バー 柳谷さん
「僕ものすごい飲むんで、いいお店に行くととんでもない会計になっちゃう。かといって飲み放題のお店にいきたいわけじゃない。安いものを安い値段で、飲み食いしたいというわけではないんです」

田町新聞
「なるほど。確かに、単純に掛け算で増えていくとたくさん飲みたい人にとっては厳しいですよね」

原価バー 柳谷さん
「普通のお客さんが3〜5杯飲むんだったら、10〜30杯飲む人はちょっと安くしてもいいのでは。経営としても十分ペイするでしょって思って。共同経営者と考えて、当時このスタイルのお店はほかになかったので原価バーという名前で五反田にオープンしました。その後たくさんのお店に真似されちゃったけど」

原価バーは入場料(三田本店は2,000円)のほかは、全てのメニューを原価で提供(例えばグレンフィディック12年が200円)。柳谷さんのお店だけに、

お酒が好きな人にやさしいスタイルです 笑

メニューにはカクテル、ワイン、スピリッツ、リキュール、ブランデー、ウイスキーのリストがずらり。お酒だけで20ページ以上あってこれは選びがいがありそう

田町新聞
「実際にオープンしてみてどうでしたか?」

原価バー 柳谷さん
「オープンしてすぐに大震災で自粛期間があったんですけど、そのあとは“ド満席”でしたね。五反田にもう一店舗、それから赤坂、銀座・・・とお店を増やして」

田町新聞
「僕はライターの柳谷さんしか知らなかったので、まさか複数の店舗を経営されていたとは驚きです・・・
今回、田町にお店をオープンしたのはなぜ?」

原価バー 柳谷さん
「やはりメインがお酒を楽しむお店ですから、緊急事態宣言の影響をモロに受けて。いったんすべてのお店を閉めることにしました。それで、最初は正直なところ五反田でまたやろうと思っていたんです。でも条件に合う物件がなかなか無くて、ちょっとエリアを広げて探したらここと出会いました」

一階は大きなカウンターのほか
テーブル席があって、飛沫防止パーテーションなどの対策も万全

田町新聞
「2階もあってかなり大きな店舗ですよね」

原価バー 柳谷さん
「そうですね、約100席。いままでの店舗で一番大きいです。ここまで苦しい思いをしているのに、コロナが明けてお客さんがもとに戻った、では借金だけが残っちゃう。キャパを拡大して準備万端でアフターコロナに備えようかと」

田町新聞
「勝負師ですねぇ〜」

原価バー 柳谷さん
「まぁ、自粛期間が何度も延長されて、既に読みは外れているんですけどね・・・」

さらに二階に上がると広々とした空間が。。早くたくさんの人で賑わう様子が見たいですね

田町新聞
「全てのメニューを原価で販売というのがお店の最大の売りだと思うのですが、ほかになにか特徴はありますか?」

原価バー 柳谷さん
「原価で飲めるといっても種類が少ないのでは面白くないので、できるだけたくさんのお酒を用意しています。海底熟成ウイスキーなんかもありますよ。実は僕の会社で販売しているんですけど」

田町新聞
「え?どういうことですか?」

原価バー 柳谷さん
「ウイスキーが好きすぎて、自分で輸入してそれを南伊豆の海底にある熟成庫で1年間眠らせて海底熟成ウイスキー“Tourbillon”として販売しているんですよ。そのために株式会社トゥールビヨンという会社もつくって」

こちらが海底熟成ウイスキー「Tourbillon」。スコットランドのアイラ島で2006年蒸留のシングルモルトウイスキー10年熟成と、ハイランドで1972年蒸留のグレーンスイスキー43年熟成の2種類

田町新聞

「お酒に対する行動力・・・

ちなみに海底で熟成すると何がいいんですか?」

瓶に封蝋をして海水も空気も出入りできない状態で、このように南伊豆の海底にある熟成庫で眠らせるそう

原価バー 柳谷さん
「最初はロマンのつもりでやったんですけど 笑
味がまろやかに変化しているのが分かって」

田町新聞
「これはお店で実際に飲んでみないとですね」

ちなみに柳谷さん、ほかにもeラーニングシステムの会社やネット詐欺撲滅を目指すNPO法人の運営もされているとか。それで毎日飲みまくってるっていうんだから、いったいどんだけ時間の使いかたうまいんですか・・・

原価バー 柳谷さん
「あとは、コンピューター関連メーカーのPFUとコラボしたオジリナルビールとか、店内でキーボードの貸し出しもしています」

キーボードの最高峰として知られるPFU製“Happy Hacking Keyboard”の打鍵感を確かめながら、お酒を飲む。長年ライターの第一線で活躍している柳谷さんが経営されているお店だけあってマニアックだなぁ・・・笑

バーは日本に数あれど、キーボードの試打ができるお店は珍しいハズ・・・

でも田町にはIT系の会社も多いし、興味ある人多そうですよね。

ちなみに、三田本店ではこれまでの店舗ではやっていなかったランチも営業中。バーというとお酒ばかりに目がいきがちですが、実は原価バー、フードにも定評があって。以前の店舗では売れすぎて中止したメニューがあるほどだそう。田町新聞も牛タンシチューをいただいたのですが、お肉がホロホロでソースも濃厚でとっても美味しかったですよ!

「濃厚な味わい 厚切り牛タンシチュー 季節野菜を添えて」。ライス、サラダ付きで1,320円

ということで、まだ思い切って
飲みに行こうぜ!!
と言えないのがもどかしいところですが、条件付きで酒類の提供が解禁されましたし、これまでほかの地域で大人気だったお店がせっかく田町にオープンしたのですから、応援がてら(少人数で早目の時間に)立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

そして早くコロナが明けてたくさんのお客さんで賑わう光景が見られますように!

原価BAR 三田本店
■ 住所:東京都港区芝5-23-6
■ TEL:03-6879-0313(予約可)
■ 営業時間:11:30~14:30(L.O.14:00)、16:00〜20:00(L.O.19:00)
■ Webサイト:https://genkabar.jp/

※新型コロナの影響で営業時間や定休日が記載と異なる場合があります。ご来店の際は事前にご確認ください。

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