田町新聞は東京・田町(三田、芝浦)の粋な情報を発信するWEBマガジンです。

芝で芝えびを肴に一杯、江戸っ子気分も味わえる食事処!?

今日はお江戸で踊りたーい♪
君に江戸料理おごりたーい♪

と鼻歌を歌いつつ向かったのは、芝にある江戸料理のお店。

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江戸時代の田町はこんな感じ(出典:芝高輪辺絵図/国立国会図書館)

このあたりには、西郷隆盛や勝海舟、坂本龍馬などが密談に利用したという造り酒屋「若松屋」の奥座敷があったり、雑魚場(ざこば)と呼ばれる魚市場があり新鮮な魚介類が水揚げされたといいます。

この若松屋(現:東京港醸造)の地酒(←過去記事)を飲みつつ、芝になじみのある江戸料理を気軽に味わえちゃう・・と来たら田町新聞としては見逃せません!

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食事太華(しょくじたいか)

三田駅からは歩いて6分ほど。
常連さんしかいなそうなこだわりの小料理屋さんって雰囲気。。

お調子者だけど小心者の田町新聞は、おそるおそるのれんをくぐります。

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田町新聞
「こんにちは~・・」

海原さん
「あ、いらっしゃいませ」

田町新聞
「海原・・・・・えっ、あの!?」

海原さん
「・・・」

田町新聞
「美味しん・・いや、美食倶楽部主宰の・・!?」

海原さん
「よくいわれます(苦笑)」

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店主 海原 大(かいばら ひろし)さん

もちろんこちらの海原さんは、すぐに激昂しては中川と帰ってしまう海原さんとは無関係。

もしもあの海原さんだったら、
「士郎、よくもくだらない田町新聞をこの海原の前によこしたなっ!!
こんなインタビューに答えられるか、不愉快だっ!!」

などと怒られること間違いなし・・。

田町新聞
「なんで江戸料理のお店を始めたんですか?」

海原さん
「もともと印刷関係の会社員だったんですが、その頃パスタにはまっていたんですよ。自分でも作っていたりして・・」

田町新聞
「え?パスタ?」

海原さん
「そのときに転職をしようとして、その前にイタリアンでバイトして料理でも覚えようかなという軽い気持ちで入りまして(笑)飲食の楽しさを覚えた頃に、オーナーが「店でも持ったらどうだ」といわれまして、ええ」

田町新聞
「え?イタリアン?」

海原さん
「でもやるんだったら日本料理っていうのがどこかにあって・・食べるのが好きだったんでいろいろ本などを読んで知識だけは無駄にあったんです。それで「じゃあ和食やります」と言って、そこの紹介で和食屋に入ったんです」

田町新聞
「からの和食屋!?」

まずはホテルの和食でバイトを始めて、葉山の”日影茶屋”で経験を積まれたそう。

田町新聞
「日影茶屋って・・(早速ネットで検索)うわ!創業300年!?有形文化財の家屋!?すんごい老舗じゃないですか」

海原さん
「ええ、ええ、そうです」

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話し口からまじめでぼくとつとしたお人柄がにじみ出る海原さん

田町新聞
「だいぶ江戸料理に近づきましたね。じゃあ日本料理の修行をしてからこちらへ?」

海原さん
「いや、いろいろあるんですけど・・」

田町新聞
「えっ、次はなに屋?(汗)」

海原さん
「もう閉店してしまったんですが福田さんの”なべ家”って店が大塚にあって・・江戸料理って出汁に昆布を使わないんですけど、その味が僕にがつんと来て」

田町新聞
「へー江戸料理って昆布使わないんですね」

海原さん
「まあ、それも・・いろんな人がいろんなこと言うんですよ。江戸はかつお一本だとか、昆布を使ってたとか」

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お江戸の魚市場(出典:東都名所_日本橋真景并ニ魚市全図/国立国会図書館)

江戸メモ:
当時は西回りしか昆布の航路がなく東京に着くのはいちばん最後。
つまりお江戸の昆布は高級品。当時使っていたといわれるお店は、将軍がお忍びで来るようなとこだったりして、庶民にはなじみが薄かったと思われます。

海原さん
「その”なべ家”で出会ったのが好きな味だったんでこれだ、と。それで入れてくれと言ったら断られちゃったんですね。へへへ(笑)いまいっぱいいるからって」

田町新聞
「メンタル強いな!」

それでも海原さんの江戸料理への探求心はとどまらず、食べ歩きをしたり、日本料理や寿司屋の古い本を見たり、他の和食屋でも働きいろいろな情報を取り入れつつ、10年間修業をしてきたそう。

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田町新聞
「なんで芝でお店をやろうと思ったんですか?」

海原さん
「最初は地元の五反田で探していたけど、エリアを広げたら田町の芝が出て来たんです。あ、そうだ、俺、芝えび料理やりたいんだ。じゃあ芝でやるのがいちばんいいじゃないかと(笑)そこでやっと気づくんですよ、ええ」

田町新聞
「なるほど・・え?芝えびが好きだったの?」

10年前に銀座の名店で食べたえびしんじょうに感動し、ずっと芝えび料理を考え続けていたそう。のちに芝には芝煮(芝の小魚を使った汁物)という料理があると知って、ふたつが芝につながったと。

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江戸時代の芝浦(出典:名所江戸百景 芝うらの風景/国立国会図書館)

江戸メモ:
江戸時代の芝には芝浜という人気のビーチリゾートがありました。
遠浅の漁場でもあり、芝えび、鱚(きす)、ハゼ、あさりなどいろいろな小魚や魚介が水揚げされ、ここで獲れたものを芝肴(しばざかな)といったそう。

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(右から)えびしんじょう、焼きはぜ汁、芝煮

海原さん
「えびしんじょうは芝えび100%です」

田町新聞
「えびの旨味がすごい!でもドヤ感がなくてうっとりするほど上品・・」

海原さん
「焼きハゼ汁のハゼは生きているものを仕入れてます。こんなにキレイな味の魚はないくらいキレイな味がするんです。鮎に負けないですよ」

田町新聞
「さすがにそれは言いすぎじゃ・・・・・おったまげ!!!
このハゼの出汁すごーーーく美味しい(しみじみ)全然泥臭くないし上品。
芝煮は芝えびと鱚ですね、こっちも優しく沁みこんでくる・・」

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東京港醸造(若松屋)さんの地酒、江戸開城
まだどぶろくしか作ってない時からどぶろくだけでもと仕入れているそう

田町新聞
「えっ・・美味しい!うそでしょ?これ本当に東京の水で作ってるの?(←失礼)」

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一品料理のほか、本日のおすすめやコース料理も

海原さん
「あと甘味噌も使ってるんですけど」

田町新聞
「えっ!田町に江戸甘味噌作っているお味噌屋さん(←過去記事)ありますよ!」

海原さん
「ええ、そうなんですよね。味噌は5社くらい使い分けてるんですけど、田楽用は日出味噌さん一本で。酒もそうなんですけど味噌も芝にあるという(笑)」

うわーーーぜひ東京港醸造さん日出味噌さんとなにかコラボして欲しい!
イベントとかで江戸屋台を出して、芝えびや味噌田楽を肴にどぶろく一杯なんて・・おら、ワクワクすっぞ!

海原さん
「和食は京都にならえ、というお店がほとんどなんですけど、ついた親方が関東風のやり方だったんです。江戸料理の盛り付けとか全体の雰囲気とかもわたしにはよかったんですね」

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江戸時代の八百善さん(出典:江戸高名会亭尽 山谷(八百善)/国立国会図書館)

海原さん
「”八百善(やおぜん)”って店があって、300年続く江戸料理の生き字引なんです。最近月1回くらい行って10代目の栗山さんに話を聞いてます。
なべ家の福田さんもご来店くださいました」

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お店には栗山さんや福田さんの著書もありました

ランチは和定食がメイン。
忙しい昼はもう江戸とか言ってられないんで、といいつつも出汁はこだわりのかつおだし。

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店主手書きの江戸風看板
「付めし」というのはごはんも付いてるよってことで、当時のうなぎ屋の看板から着想したそう

とにかく江戸料理が好きすぎる海原さんですが、そのまま再現するとマニアックになっちゃうし、当時とは塩も酒もかつおも価格も全てが違うから再現のしようもない・・でも同時にそこが楽しみ方じゃないですかね、とも。

海原さん
「例えば、池波正太郎が好きな人がこれを食べることで思いが広がれば、そこを楽しんでもらえればいいかなと。そして料理が美味しければいいんじゃないかと思ってますんで」

江戸はいまの東京と同じように常に新しいものを取り入れ、美味しいものを生み出した世界有数のビッグシティだったといいます。
海原さんが芝で作り出す料理は、最新の江戸料理のひとつといえるかもしれないですね。

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お江戸はビッグシティ(出典:江戸八景 日本橋の晴嵐/国立国会図書館)

・・おあとがよろしいようで。

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食事太華(しょくじたいか)

東京都港区芝2-9-13 桑田ビル1F
03-3453-6888
営業時間:11:30~13:00(L.O.)/18:00~21:30(L.O.)
休業日:土曜日
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